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ノーリッチテリアとは・・・目次
外見
小型(体重5-5.4 kg、肩甲骨部分までが24-25.5 cm)のテリア犬種。立ち耳、被毛は二重構造。色は赤、黄褐色、小麦色(ウィートン)、黒(ブラックタン)、灰色である。
気質
小型だががっしりしていて勇敢で、非常に賢く愛情深い。
強く自己主張するときもあるが、一般的に攻撃的ではないし、喧嘩っ早いわけでも恥ずかしがり屋というわけでもない。
エネルギッシュで活動的である。人に気に入られようとする一方で自分の意思もしっかりもっている。
説教には敏感で「テリア=兵士」としての資質が十分にある。
飼い主との付き合いを非常に好むため、屋外に放っておくべきではない。
不必要に吠えたりはしないが、知らない人が近づいてくると吠える。また人間の子どもにも優しい。他のペット類とも友好的に同居できるが、ウサギなどのげっ歯類のペットは獲物と勘違いする可能性があるので注意が必要である。
健康
寿命は12年から16年。
健康な品種だと考えられているが、健康問題の発生率を下げるために予防的に遺伝子健康テストが行われている。
ノーリッチテリアに関しては、遺伝による特定の病気の様相や正確な個体数を確認する研究はまだ不明で結論は出ていない。
現在のところは最重要視されるような遺伝的問題はないが、気をつけたい病気としては白内障が挙げられる。
これは散発的に報告される病気であり遺伝する可能性がある。他にも、てんかん、気管狭窄、ひざの脱臼、股関節形成異常、僧帽弁疾患、アトピー(アレルギー性物質吸引による皮膚炎)や噛合せの異常などの事例がある。
ノーリッチテリアはダニを引き付けるので、ダニ・ノミの蔓延を防ぐ対策が必要である。
心糸状虫感染の予防薬を与えるのも重要である。
テリアは別の犬(テリアが望ましい)などの仲間がいるのを好む。もし他の犬とのかかわりがないのであれば、飼い主がたくさんかまってあげるように。もっとも、テリアは愛情深く人懐こいので、愛情を注ぐのは簡単だろう。
他の犬同様、ノーリッチテリアは狂犬病ワクチン接種に自己免疫反応を示すことがある。
狂犬病ワクチンによって引き起こされる皮膚性貧血症は致命的とはいえないまでも、
ワクチンに含まれるアジュバントと呼ばれる免疫反応を高める化学物質に深刻な反応を示す可能性がある。
皮膚性貧血症は誤診されることが多いが、正しく診断されれば治療は可能である。耳の先端部に対称に現れる暗い斑点や傷、
ワクチンを打った箇所が張れあがったり、かたい塊ができたり暗い斑点が現れたりするのがこの症状の兆候である。
ノーリッチテリアには呼吸器の問題が多いようだ。
ノーリッチ&ノーフォークテリアクラブ(米国)は「ノーリッチテリアの上方気管症候群に関する研究のための健康と遺伝学小委員会」を設立した。(出典:「The Norwich & Norfolk News」、No.93、2006年秋)上方気管症候群(UAS)は上側の気道に起こるあらゆる異常であり、細長い軟口蓋、短過ぎる軟口蓋、狭いかゆがんだ気管、気管圧迫、鼻腔狭窄、扁桃腺肥大、喉頭部の球形嚢がめくれあがる・・・といった症状が単独あるいは複数の組み合わせで表れる。
通常は呼吸する犬の能力と気道の具合によってさほど深刻な問題にはならないが、テリアの息づかいはしばしば荒く湿っていることが多い。
おそらく短い鼻口部がこの問題の原因だろう。ブリーダーはこれらの問題を意識していて、この犬種の保護に根気強く取り組んでいる。
一般に、ノーリッチテリアは一度に1~3頭の子犬を産む。
ブリーダーは雌犬の妊娠回数を制限する。健康な雌犬の最適な繁殖期は2歳から(ただし全ての遺伝子テストが終わってから)6歳の間である。7歳になると老犬とみなされる。アメリカでは現在の需要を満たすだけの供給はないのが実情である。
供給量が少ないことと純血種のノーリッチテリアは高額であること(2008年ではおよそ2,500USドル)から、
尾を短く切ったケアンテリアや雑種の子犬をノーリッチテリアだと売りつけるといった詐欺も起きているが、この詐欺を止めるのは非常に難しい。
偽ノーリッチテリアはインターネット上で販売されていることもある。買い手が被害に合わないようにするには、信頼できるブリーダーに頼むしかない。
カナダやアメリカでは、犬が遺伝子健康テストを完了したかどうか、www.offa.orgのオープンレジストリーを調べると確かめることができる。
世話・運動
ノーリッチテリアは様々な気持ちや感情を示す。ささいなことにも反応する。
ノーリッチテリアは体力がある活発な犬で、もともとは穀物や家畜に害を与える害獣を追いかけたり馬に乗った農園主の飼い主に同伴したりしていた犬種であるため、日々の散歩は健康なノーリッチテリアには欠かせない最低限必要な運動量である。
ノーリッチテリアは散歩仲間としても優れており、飼い主についてジョギングしたり、リードを外してマウンテンバイクについてくることもできる。
ノーリッチテリアはアースドッグやアジリティ、フライボールといった競技にも出ている。(注意:米国のトライアルは捕捉したネズミを用いるのに対し、ヨーロッパでは本物の敵、つまり生きたキツネが用いられる)
ノーリッチテリアはもともと作業用テリアで、成長には毎日少なくても1時間、散歩や走行、運動が必要なことを念頭におくべきである。
ノーリッチテリアは好奇心と独立心の強い犬なので毎日同じ繰り返しの散歩やルートには退屈してしまうかもしれない。
体力的・精神的な健康のためにも裏庭に放しておくのがいいだろう。
テリアの中ではもっとも小型だが、ひざにのせて可愛がるような抱き犬ではなく、活動・刺激・運動の必要量が全く違うので、同じ小型犬のトイ種のように扱ってはいけない。
運動や刺激が不十分であると、過剰に興奮したり、破壊的あるいは神経症的な問題行動をおこすこともある。
毛並みの手入れ
ノーリッチテリアには、粗くて針金状の毛と柔らかく暖かい毛の2種類の被毛がある。
理想的には、毎日あるいは1週間に一度、ゆるく抜けた毛を取り除き、もつれるのを防ぐために、鉄の櫛でとかす。
ノーリッチテリアの毛並みを適切に維持するには、固い毛を持つ他の犬と同様、「ストリッピング(または、プラッキング)」という、指もしくはストリッピングナイフと呼ばれる特別な櫛を用いて古い毛を引き抜く作業が必要である。
ストリッピングは毛並みの外観を整えるだけなく毛・皮の健康にもよい。理想的には、毛の長さのそろったいわゆる「ローリングコート」を目指して、定期的に手でストリッピングを行う。
ローリングコートを維持するのは犬の肌にはよいが手入れの期間はまめになる。少なくても、被毛は春と秋に一度、ストリッピングが必要である。ハサミで切ってしまうと被毛の自然な色や質感が損なわれてしまう。ただし、老犬の皮膚はストリッピングに敏感なため、ストリッピングよりも毛をカットする方が良い場合もある。
適性に行われるストリッピングは飼い犬とのきずなを深めるので、ブリーダー(もしくはトリマー)にストリッピングの仕方を教わるとよい。毛並みの手入れをするのは飼い主の仕事というわけではないが、もし自分で毛並みの手入れを学びたくない、あるいはやりたくないというのなら、手入れが要らない犬種を検討するべきである。
でなければ手入れをしてくれるブリーダーやトリマーをみつける必要がある。ただし、ストリッピングは特別でみつけにくい技術なうえ、高額の費用がかかる。いずれにしても、ノーリッチテリアを購入する前に、ストリッピングの仕方を学ぶか、または適任のトリマーを探しておくといい。
ただし、プードルなどを扱うトリマーだと、適切なストリッピングの仕方を知らずに耳を整えて毛をカットすることが多いが、これではノーリッチテリアの被毛を損なうし、奇妙な見た目になるだけである。
ドッキング(尾を短く切断する)
カナダや合衆国以外では、ノーリッチテリア=尾の切断手術(ドッキング)をした犬、というイメージは変わりつつある。
オーストラリアではドッキングは任意であるし、イギリスでは尾を切るのは作業犬にだけ許可されており、ペットやショーのための犬には禁止されている。また、ノルウェー(1987年)、スウェーデン(1988年)のように、尾を切ることを禁止している国もある。過去4年の間にキプロス、ギリシャ、ルクセンブルグ、スイスでドッキングの禁止が決定した。一方アメリカでは、ドッキングした犬がショーリングで成功しているために、強く好まれている。
ドッキングの擁護者はドッキングは尾を引いて手術するので犬の脊椎に危険はないとするが、反対する人はドッキングはイヌ科にとって重要な尾を使った情報通信システムを壊すことは犬社会での出会いにとって極めて重要な問題であるとしている。またイギリスにおいてドッキングしたスポーツ用の犬は課税を免れていたという歴史的背景を指摘してもいる。
繁殖
ノーリッチテリアを繁殖させるのは難しく、帝王切開による出産が多い。
2007年の北米において、ノーリッチテリアの1回の出産の平均は子犬2匹で、全米での総出産数は約750匹である。
もっとも一度に生まれる子犬の数は過去のケンネルクラブ(例えばオランダ)の系図をみるともっと多かったことがわかる。フィンランドのケンネルクラブのサイトでも同様の情報を得ることができる。
ここでアメリカで起きた血統詐欺について述べておく。(出典:source: The Norwich& Norfolk News, Number 93, Fall 2006, published bythe Norwich and NorfolkTerrier Club) この犬種は人気が高く、扱いやすく、数も少ないため、悪徳業者が尾を短く切ったケアンテリアや雑種を売りつけている。またこれらの偽テリアがインターネット上で販売されている。買う側はブリード協会推薦の信頼できるブリーダーから買うことで詐欺から身を守ることができる。しかし、ブリード協会やケンネルクラブに入るのは比較的容易であったりもするので、ブリーダーを直接訪ねるのが一番いい方法である。
歴史
この犬種は1800年代後期には東アングリア(イギリス)において存在していた。
狩猟向きで頑丈なこの犬種は、裏庭ではネズミ捕り、狩りではキツネ追い、そして愛すべき家族の仲間として活躍してきた。ケンブリッジ大学で学生のマスコット的存在だったこともある。
1860年代からその地域にはアイリッシュテリアの子孫である小型の赤いテリアが存在しており、この犬種もしくは今は絶滅してしまったトランピントンテリアがノーリッチテリアの祖先であると考えられている。かつてはジョーンズテリアやカンタブテリアなどとしても知られていた。ノーリッチテリアは1932年のショーリングでイングランドのケンネルクラブによって世間に認知された。
特定の犬種として認定された当初は、垂れた耳のものも立ち耳のものも両方いたが、垂れ耳の場合、非合法となるまでは垂れた部分を切ってしまうこともあった。このことによって、垂れ耳の犬はショーリングで許可されるべきなのか、単に耳だけの違いなのか、垂れ耳だと犬種も性格も異なるのか、といった、以後長く続く耳に関する論議が強まった。
1930年代からブリーダーは犬種を分ける努力を始めた。ノーフォークテリアとノーリッチテリアは長い間交配してきたが、今日では別の犬種である。実際にこの2つは交配されるようになる前から別々の種だったことを示す歴史的文献もある。
ショーリングでは両方の耳のタイプが認められていたが、1964年、ケンネルクラブは垂れ耳の犬種はノーフォークテリアという別の犬種とし、アメリカやカナダのケンネルクラブも1979年に同様の見解をとった。
ちなみに、それまで米国ケンネルクラブは立ち耳の犬はノーリッチテリアPE型、垂れ耳の犬はノーリッチテリアDE型として登録していた。